オンラインイベント「Protagonist’s man」で公開した無配小説です。イベント内企画、PとNの夏からお題「熱帯夜」で書かせていただきました。
主ニルがいちゃいちゃしてるだけのえろです。結腸責めあり。
目覚ましも鳴っていないのに目が覚めた。もう朝方かと思ったが、半端に開いているカーテンから見える空は暗く、まだ深夜らしいということがわかる。
額には汗が滲み、Tシャツがじっとりと肌に張り付く。それだけじゃなく、枕やシーツまで湿気ている気がする。
深夜だというのに室内は日中と変わらない温度を保っている。どうやら、それが原因で目が覚めたらしい。寝間着はTシャツと下着だけ。タオルケットだってほとんどかかっていないのに、この暑さではそんな抵抗は無意味だ。
潜入とも言えないような、半分休暇のような任務で滞在しているこの場所は、田舎も田舎、家同士の距離も空いているような郊外だ。そのせいで拠点の選択肢も少なく、立地と効率を優先した結果、少しばかり古い一軒家で暮らすことになった。男と僕は、仕事の都合で引っ越してきた夫夫――ということになっている。
多少不便はあっても、生活する分には問題ないだろう。そう思っていたのだが、肝心の空調が古すぎて冷房が行き渡らない。おかげで夏日を迎えるようになってからは、寝室の気温は上がりがちだ。書斎はしっかりと冷えてくれるおかげで仕事に支障はないが、快適とはいえない。
寝苦しさで目覚めてしまっては、もう一度寝付くのも難しく、全身にまとわりつくような空気を少しでも誤魔化そうと寝返りを打つと、恋人の筋肉質な背中が視界に飛び込んできた。
男は静かに寝息を立てているが、その肌は汗でしっとりと湿っている。いつもならぴったりとくっつけるように抱き着くところだが、この暑さではためらわれる。しかも、僕はいま全身に汗をかいている。
つい数時間前もさんざん局部まで見せてきたんだから、ちょっとやそっとのことは気にならないが、これは別問題だ。べたつきとか、においとか、そういうものは好意だけで乗り越えられるものではないだろう。
男のうなじを睨み付けるようにして数分悩んだ挙句、諦めることもできず、僕はぎりぎりの距離まで近付くことにした。直接触らないように気を付けながら距離を詰めて、そっと寄り添う。
男のうなじからは汗のにおいがした。他人の汗のにおいを好ましいと思うことなんて基本的にないし、男性用のロッカールームなんて最悪だ。でも、恋人のものはちがう。彼の体臭が混じる汗のにおいは、不思議なことに心地よく感じる。
窓から射し込む月明かりに照らされて、男の褐色の肌が汗できらめいてうつくしい。ゆっくりと息を吸い込むと男の存在を間近に感じて、うっとりと目を細めた。
筋肉の盛り上がった腕も、厚みのある背中も、いくら眺めたって飽きたりしない。僕は、この偶然訪れた時間を堪能して、男の肌を隅々まで見ながらじっと息をひそめていた。
そうやって、最初に寝返りを打ってから何分経過しただろうか。静かに眠っていたはずの男の肩が小さく震え始めた。
僕は、その理由にすぐに気が付いた。笑っているのだ。正確に言うと、笑いを堪えている。からかわれているお返しに、男のうなじに息を吹きかけると、笑みを浮かべた男が振り返る。
「ばれたか」
「そりゃバレるよ。いつから起きてたんだ?」
「お前が近付いてきてすぐ」
ずっとじゃないか。男の返答を聞いた僕の眉間にしわが寄る。それを見た男は苦笑した。
「むしろ、気付かなかったらまずいだろう」
男の言葉はもっともだ。エージェントが簡単に背後を取られていたら仕事にならない。しかし、問題は気付いてないふりをしていたことだ。
険しい表情を崩さない僕を見ていた男は、振り返って腕を僕の背中に回そうとした。しかし、すんでのところで身をよじり、それを回避する。今度は男の眉間にしわが寄った。
「なんで避けるんだ」
「……汗、かいてるから」
「俺もかいてる」
「君のはいいんだよ。臭くないし、きれいだし」
「……? 汗だぞ?」
「汗だよ。でも、君のと僕のとじゃ別物だ」
僕が何を言っているのか理解できないらしく、男の眉間のしわが益々深くなる。
こうやって話している間にも僕の額は汗ばみ、肌が乾く気配はない。僕だって抱き着きたい。抱きしめられたい。でも、運動が理由の汗とは違う、この独特のじっとりした状態で触られたくはない。しかも、彼とは根本的に発汗量が違うのだ。髪が張り付くほどに、僕は簡単にびしょ濡れになってしまう。
しばらくの間、じっと見つめられていたが、僕が頷かないと判断した男はゆっくりと起き上がった。不快にさせてしまっただろうかと一瞬不安になったけれど、立ち上がった男が「水でいいか?」と訊ねてくれたので、ほっと息を吐いて頷く。
上半身は裸で、ハーフパンツだけを穿いている格好のまま、男は部屋を出て行った。そのまま少し待っていると、透明のグラスとペットボトルを手にして戻ってきた。
男は僕にペットボトルを渡し、自分はベッドに座ってグラスで水を飲んでいる。僕がベッドを濡らさないように気を使ってくれたんだろう。
僕は横着して、上半身だけを半端に起こして水を口に含んだ。数口飲んで蓋を閉めて、ペットボトルをベッドの上に放る。男がグラスをベッドサイドに置くと、グラスと木材がぶつかる、コト、という小さな音がやけに響いた気がした。グラスに一瞬気を取られたが、そこにあるのはただの空のグラスでしかなく、ベッドに頭を預ける。すると、男と視線が交わった。
いつから見ていたんだろう。男はじっと僕のことを見下ろしている。
一定の温度を保っている室内では、水を飲んだくらいで体温が下がることはなく、男の胸のあいだを汗が流れるのが見えた。じわり、とまた額に汗がにじむ。二人の間にある空気の密度が上がる。
しっとりと濡れた褐色の肌も、僕を見下ろすその瞳も、ある光景を連想させる。このときばかりは、完全に彼と頭の中がシンクロしているんじゃないかと思った。
「……同じことを考えてる?」
「試してみるか?」
「受けて立つよ」
にやりと笑ってそう言うと、男は、くっ、と喉の奥で小さく笑って身を乗り出した。ベッドに腕をついた男の顔が下りてくる。やはり同じことを考えていたらしい。それをお互いの中に認め合うように、目を逸らさないまま間近まで近付いていく。そして、唇がゆっくりと重なった。部屋を満たしている熱気のような性急さをもって口内を貪る。互いの舌が絡み、口内を何度も行き来して、口の周りはあっという間に唾液で濡れてしまった。
僕が男の後頭部を引き寄せるのとほとんど同時に、男は僕のTシャツの中に手を差し入れた。熱を持った手が慣れた様子で皮膚の上を滑る。しばらく脇腹や腰を撫でていた手がさらに上へと向かっていき、僕の胸の中心にある毛をくすぐり始めた。男の手がいたずらに毛先を引っ張っても気にしていなかったが、すぐにそこは汗が溜まりやすい場所だと思い出し、男の腕を掴んで動きを止めた。
唇を解放した男の顔には『不満だ』という文字がはっきりと書いてある。
男の耳をくすぐりながら、僕はできるだけやわらかく聞こえるだろう声を出した。
「君に触られるのが嫌なんじゃなくて、汗が気になるんだよ」
「汗くらい、いつもかくし、その状態で抱き合うだろう」
「セックスの汗と体温調整の汗は別だ」
「変わらない」
男は僕の言葉を無視して、首筋に顔を埋めた。リップ音を立てながら、男の唇が首筋から鎖骨までを辿っていく。
「ッ、きみ、聞く気がないな?」
「ああ。それに、自分だって俺のにおいを嗅いでただろう」
「そ、れはっ、だから、君のは特別なんだって……っ」
「俺にとっては、お前のにおいも同じだ」
ちゅう、と音を立てて首筋を吸われ、その上を舌がねぶる。そこからじわじわと快感がともり、思わず身震いした。体の奥から這い上がってくるような感覚に流されて、羞恥も抵抗感も少しずつぼやけてしまう。
男の指がへその周りをくるりと撫でて、みぞおちの筋肉のラインをなぞり、胸の突起を引っかく。彼は軽くつまんだだけなのに、ぴりぴりとした刺激はダイレクトに体内に響いて、腹の奥が切なくなる。数時間前に刺激されていたそこは、勝手に快楽を思い出してきゅうっと締まった。小さく足先が跳ねる。
男がそれを見逃すはずはなく、僕の顔を覗き込んだ。互いの意図を探るようにじっと見合う。
「……すぐ挿入るよ。まだ濡れてる」
ぽつりと呟くと、男の眉がぴくりと動いた。目覚めてから初めてうまく仕掛けられた気がして、してやったりと笑みを浮かべて男の胸元をなぞる。さっき自分がされたように男の胸元の毛を指に絡め、胸の突起を指の腹でやさしく撫でる。
「なかはまだ柔らかいし……君も反応してる」
つ、と男の腹筋を撫でていき、ハーフパンツと下着をまとめて指に引っ掛けて引き下ろすと、すでに上を向いている男のペニスが勢いよく飛び出してきた。「ほら」と囁くと、男が少しばつの悪そうな顔をする。そんな男の下半身に自分の下半身を押し付けると、確かな快感がうまれて肌が粟立った。
ゆったりとした動きで腰を揺する。一枚の布を隔てて伝わってくる男のペニスの感触は確実に硬さを増し、僕の下着も先走りが滲んで色を変えている。さんざん暴かれた後孔がわずかに口を開いたことで、体内に残っていたジェルがこぼれたのがわかって顔をしかめた。
すると、男の手が僕の下肢に伸びて、脚の間に潜り込み、下着の上から後孔を押し上げた。
「っ、ぁ……」
窄まりに密着した下着が濡れる感触がする。男の指先はひだを確かめるように入り口を往復し、そのたびに男の指を食もうと粘膜が収縮して、アナルから粘着質な音が聞こえてきた。
男は熱い息を吐いて僕の下着を一気に取り払った。僕をうつ伏せに転がして、ベッドサイドに置きっぱなしにしていたジェルを直接後孔にかける。部屋の熱さに負けて、ジェルはすでに溶けかけていて、難なく肌に馴染んだ。
男の指がジェルをまとい、ナカの様子を確かめるように潜り込んできた。僕が言っていることが正しいか、体内に埋めた指をゆっくりと回して確認している。きっと、入り口が少しだけ腫れているからだろう。痛みはないし、そもそも先の行為で僕が何度も「擦ってくれ」とねだったのが原因だ。
問題はまったくないんだけど、僕が少々無茶をしがちなことは知っているから、彼はより一層慎重に行為に及ぶ。でも、こんな触診と変わらない動きじゃつまらない。
少し力をいれてわざと指を締め付けると、男が息を飲んだのがわかった。ニール、と咎めるように名前を呼ばれたが、反省することなく振り返る。
「いれても大丈夫なのはもうわかっただろ?」
「汗のことはもういいのか?」
「よくはないけど、それどころじゃないんだ。……わかるだろ」
僕の口からも熱のこもった吐息がもれる。男は少しの間思案し、それからひとつ頷いた。
「ああ、そうだな。俺も、もっとちゃんとわかってもらわないといけないみたいだ」
「なにを?」
そう訊ねたが、男は僕の疑問には答えず、欲の滲んだ笑みを浮かべて指を引き抜いた。僕のTシャツを脱がせて、ジェルと同じようにベッドサイドに放置されていたスキンを取り、器用に自身に被せる。それが終わるとベッドに横たわり、僕のことを後ろから抱きしめて、後孔にペニスを押し付けた。
熱い切っ先がアナルに触れただけで、僕は堪らず声をあげた。男が挿入してくれるのを待っている間に、どんどん呼吸は荒く、短くなっていく。
男は僕の肩や背中をあちこち噛んで、そのあとでやっとペニスを押し込んだ。
「あっ、あ、ッぅ~~……!」
スキン越しの性器が粘膜を擦りながら奥へと進んでいく。
敏感になっている入り口も、腹側のふくらみも、ペニスの張り出したところがごりごりと擦っていって、声にならない悲鳴をあげた。続けて前立腺を押し上げられて室内に僕の声が響いたが、声をあげることに抵抗はない。それに、僕らは夫夫ということになっているから、多少外に漏れ聞こえたところで、やはり問題はないはずだ。
後ろから挿入されると縋るものが手元になく、シーツをきつく握りしめて身体を丸める。その間も男は腰を進め続けて、ペニスの先端は体の奥深くまで入り込んでしまった。
ふっ、ふっ、と獣じみた呼吸をする僕のことを、男がぎゅうっときつく抱きしめる。男のたくましい腕が腹に回り、背中には男の胸がぴったりとくっつく。シーツを手放し、やわやわと首筋を噛んでいる男の腕に縋り付くと指が絡んだ。男の指先が僕の指のあいだをなぞり、そこから少しだけ力が抜けていく。
男は何度も僕の肌に唇を這わせ、噛んだかと思うと舌でなぞる。僕のうなじから背中を濡らしているのは、もう汗より男の唾液の方が多いんじゃないかと思う。ほとんど腰は動かさないまま、男は僕の背中や胸の感触を堪能しているようだ。
不意に繋いでいない方の手で胸の突起を押し潰されて、びくんと体が跳ねた。僕の体はそこでの快感をすっかり覚えてしまって、胸への刺激は下半身へと直結する。
男は胸の突起が硬くなっていくのを愉しんでいるみたいで、少しずつ、でも確実な刺激を与えていく。やんわりとした力加減でいじられていたのに、急に強くつままれて上擦った声をあげた。それと同時に粘膜が激しくうねり、男のペニスを締め付ける。すると、背中に当たる男の息が乱れた。
彼も僕の体で感じているんだとわかると、どうしようもなく高揚する。もっと男が乱れている姿が見たくなって、僕は自ら腰を揺らし始めた。繋がっている箇所から、ぐちゅぐちゅと音が聞こえてくる。
たっぷりとジェルを使われたアナルはよく滑り、男の太いペニスが動くのになんの支障もない。激しく腰を動かしてはいないものの、男も興奮しているらしい。呼吸は乱れているし、体は熱い。触れている胸板は汗で濡れている。
男は繋いでいる指の力を強くした。それに応えるようにぎゅっと握り返すと、彼の額が肩に押し付けられたのがわかった。次いで、男の切羽詰まった声が耳に届く。
「ニール、ッ、奥まで、いれてもいいか?」
男の声に懇願するような響きが乗っていることにぞくぞくした。
彼が何を言っているのかはすぐにわかった。今でも十分深くまで繋がっているが、さらにその奥、男が滅多に使いたがらない場所がある。
彼が自らそこに入りたいと言うなんて、喜びこそすれ、拒否する理由などひとつもない。僕は熱に浮かされたままうっそりと笑う。
「ぼくも、いちばん奥まで、きみのがほしい」
その言葉を聞いた男は、肩口にもう一度キスをして、僕の腰を強く掴んだ。そのまま、ぐっと腰が臀部に押し付けられる。行き止まりだと感じるところをさらに強くこじ開けられて、体の奥深くから、ぐぽ、と普段聞くことのない音が聞こえた。
全身が震えてすぐには声が出なかった。少しの痛みと、苦しさと、それ以上の強烈な快感。口は開きっぱなしになって喃語のような声しか出なくなっているし、目からは勝手に涙があふれてくる。男の下生えが臀部に触れていて、限界まで挿入されているのだと実感する。
僕を抱きしめている腕の力が強くなる。指を絡め、脚を絡め、離れている場所なんかないんじゃないかというくらい密着して、それでも足りないとばかりに男は腰を揺する。腹の奥深くにはまり込んだペニスの先端が腸壁を擦り、そのたびに背中を快感が駆け抜けて頭が真っ白になる。
「っすごいな、吸い付いてくる」
「あっあっ、はぁ、おくっ、ぁ」
「悪い、苦しいか? 抜くから無理は……」
「やぁ、だ、ッぁ……っきもち、い……ッ、ん、ぁ」
男は僕の舌足らずな言葉を聞いて小さくわらった。
頭に浮かんだ言葉がそのまま口をついて出てしまい、まったく精査できない。頭の中も、男を受け入れている粘膜も、このままどろどろに溶けてしまいそうだ。その証拠といわんばかりに、僕のペニスは触られてもいないのに張り詰めて、たらたらと透明な粘液を流してシーツを汚している。
必死に酸素を得ようと呼吸を繰り返しても、部屋のじっとりとした空気がまとわりつくばかりで楽にならない。口で呼吸を繰り返していたせいで喉が張り付き、ついに小さく咳き込んだ。そのわずかな振動も刺激となってしまい、僕は射精することなく達してしまった。びくびくと痙攣する身体がコントロールできない。
背後の男は一瞬息を詰めて、僕が弛緩するのに合わせて腕の力をゆるめた。そのまま腕を伸ばしてベッドの上を探り、僕が放ったペットボトルを手に取る。上体を起こし、水を口に含んだかと思うと、僕の顎を支えてキスをした。ぬるくなった水が少しずつ口内に流し込まれる。与えられた水分をおとなしく飲み込むと、男はまた水を含み、同じようにキスをした。
まるで餌付けされているみたいだ。餌付けと呼ぶには少し色気が強すぎる気もするけれど。
僕がぼんやりしている間に男は自分も水を飲み、中身の減ったペットボトルをさっきの僕のようにベッドの上に放り出して、今度は水分補給ではなく、口付けた。
舌を伸ばして絡めて、夢中になって吸い上げる。
男は唇を合わせながらも、より深く繋がれるように僕の脚を支えて腰を押し付けた。さっき開かれた場所に、ぐう、と先端がはまり、また粘膜が激しくうねる。
「ぁ……っんん、ふ、ぅんっん……!」
抑えきれない嬌声が男の唇に吸い込まれていき、それに煽られたかのように、男の腰の動きが大きくなる。力強く奥を突かれて、僕はまた射精せずに達した。ペニスは先走りをこぼすばかりで、快楽に終わりがなく、高みから降りてこられない。
熱い。汗が止まらない。それが室温のせいなのか、強すぎる快感のせいなのかも、もうわからない。
全身をぐっしょりと濡らしている僕の体を男の手が撫でまわす。それから、顔に張り付いている髪を避けて、耳やうなじに唇を落としていく。男も全身に汗をかいているようで、彼の顔を伝って雫が僕の顔に落ちた。
涙と汗でぐちゃぐちゃになっているだろう僕の顔を見て、男は欲でぎらつく瞳で微笑む。
「俺はお前が思ってる以上に貪欲だし、清廉でもない。覚えておいてくれ」
耳元でそんなことを囁かれたが、うまく頭が働かない。わかっているのは、僕は射精せずとも何度でも絶頂を迎えてしまうということ。それから、これは本日二度目の行為で、つまり、彼はしばらくは果てないだろうということ。
そして、彼にありったけの欲をぶつけられることを、僕ば悦んでいるということ。
僕が彼のすべてを欲しがるのと同じくらい、彼も僕を求めてくれているのかもしれない。それを理解して、羞恥も抵抗もかなぐり捨てて、ぐちゃぐちゃの自分を隠さずに微笑み返した。
夜はまだ終わらない。